先般「スーパー・チューズデー」(2012)の感想を述べましたが、その
主役を演じた(ライアン・コズリング)の新作といえば「ドライヴ」
(2012本邦上映)にまた一言。
いやぁ~孤独で寡黙でクールな男、自動車修理工場に雇われている男
(ライアン・コズリング)がいた。車の修理整備の腕前は一流である、
安い給与だが文句一つ言わず黙々と働いている。
車のドライバー技術は天才的だ、そのドライブの腕を見込まれ危険な
カーチェイス映画のスタントマンの仕事もしている。
そして時々、修理工場主から夜の仕事が持ち込まれる。強盗の逃走を
請け負うドライバーである。強盗はしない、只逃走させるだけである。
ある時は全速力でパトカーの追跡を逃れる、ある時はゆっくりと
何事もなくパトカーや白バイと擦違う、ある時はガード下やトンネル
で追跡ヘリコプターのサーチライトが過ぎるまで待つ。そして街の
雑踏に犯人達を紛れ込ませるのだ。
運転技術だけではなく頭脳も優れている、強盗の内容も素性も問わず、
仕事の分け前だけもらって二度度会うことが無い、よってこの映画の
前半は全く台詞がない、クールな音楽のみのクライム映画。
家族も友人もいない孤独な男、同じアパートに小さな男の子と住む
若い母アイリーン(キャリー・マリガン)には心が惹かれていた。
しかし、彼女の夫が服役を終え出所してきた、彼から懇願され強盗の
逃走を手伝う羽目になる。しかしこの強盗の裏にマフィアが絡んでい
たのだ。亭主は射殺され、ドライバーもアイリーンも抹殺されようと
していた。ドライバーはアイリーンを守るため逆襲が始まった。
執拗なマフィアの追跡、私の好きなあの怪優(ロン・バールマン)が
マフィアの幹部であり、(アルバート・ブルックス)がボス役で
登場する。
この映画が何ともいえぬクールなのはこのマフィアの容赦無い冷血
さと、若い母子であるキャリー・マリガンの心細さの対比といえる。
あまりに可愛く所在が心配な女である、多分社会も知らぬまま
あんな男と結婚し、不幸な境遇のまま置かれ、何もできないままだ
と推測される。
クールで人と関わらないドライブ、しかもプラトニックな関係なのに、
彼女をここまで助けるというのは、その静かな可憐さに惹かれ、捨て
置けない彼女の心細さのせいである。私でもなんとかせにゃと思う。
アメリカのアクションというより昔のヨーロッパ映画の風味がある、
なるほど監督はデンマーク人の(ニコラス・ウィンディング・レフン)
であった。この映画高く評価されカンヌ映画祭監督賞を受賞した。
ライアン・コズリングのクールさを見て、昔見た(スティーヴ・
マックィーン)の「ブリッド」(1986)と「ゲッタウェイ」(1972)を
思い出したが、それは私だけかな? マックィーンファン sorry.
コメント
コメントフィードを購読すればディスカッションを追いかけることができます。