哲学者カントは 犯罪に対する刑罰は絶対的な応報刑論。
「死には死を持って償う」「目には目を歯には歯を」という考え方だ。
現代法での刑罰は犯罪予防のための「目的刑」であり、
また犯罪者の再犯防止「教育刑」が主流である。結果
「死刑判決」は極めて制限的であり、死刑廃止国も多い。
また犯罪者に責任能力が無い場合、不起訴になる例も多々ある。
となると・・収まらないのは被害者であり、特に殺された側の家族で
あろう。
一方幼児や子供ばかりを狙い、性的暴行の後無残に殺す猟奇的
な犯罪が増えている。人間が考えられる最も卑劣な犯罪であるが、
1989年の宮崎〇〇某の事件が記憶に残るところである。
この映画「藁の楯」は上と同じような連続女児猟奇殺人鬼に、自分
の愛しい7歳の孫娘を殺された政財界の大物・蜷川隆興(山崎務)
が懸賞金をかけた。
「この男を殺して下さい。名前・清丸国秀、お礼として10億円
お支払します」とネットで訴えたのだ。
早々、犯人の清丸(藤原竜也)は友人に殺されそうになり血だらけ
で警察に出頭してきた。福岡から東京の警視庁まで警護官(SP)
を付けて厳重護送せねばならなくなった。
SPは銘苅(大沢たかお)、白岩篤子(松嶋菜々子)の二名、
警視庁から二人、福岡県警部長(伊武雅刀)が護送に同行した。
果たして日本人は10億円もらえるなら人を殺すのか?
日本人にとって10億の意味するところは何でしょうか?ネ
①一生あくせく働いてもとても稼ぐことできない金、死刑にならず出所
した後は大金持ちになる、余生を楽しく過したい。
②自分はどうなっても良いから、家族が貧困層から脱し金持ちになれる。
③会社がつぶれそう、この金さえあれば資金繰りが付くという経営者もいよう。
④ヤクザも組の資金源のために、殺しを命じられた下っ端がいるだろう
⑤清丸を殺せば、マスコミに注目され日本の英雄になれるし、金も入る。
⑥こんな卑劣な男は生かしてはおけないという正義感の人もいよう。
しかも蜷川は警察内部の協力者に対して1億円相当の礼金を出す手を
打っていたので話がややこしくなる。
いやはや、10億円の威力は凄かった、警察護衛部隊もなにするものぞ!
タンクローリーで襲ってくるドライバー、ヤクザの一団、警察機動隊員、
一般市民、中小企業経営者、警察病院員、次々襲ってくる来るはの
大混乱であった。そして護衛一行内部さえも信じられなくなっていた。
それにして藤原竜也の変態と狂気ぶりは役者演技の域を超えている、
私見ながら、たぶん彼の本質ではないかと思われる。
彼を最初に見た「バトル・ロワイヤル」2000で感じた印象、目が大きく、
歯が白く、美男顔の裏の冷酷、(楳図かずお)の怪奇漫画に出て
くる顔相だと思ったが、 正にその後の映画が証明した。
デスノート2006カメレオン2008 ,インシテミル2010,モンスターズ2014これだけ
狂気役者を引き受けるのはもう本質と確信した次第。ファンの方お許しを・・・・
原作は漫画家きうちかずひろ氏、監督はコテコテやくざ映画が得意な
三池崇史
コメント
コメントフィードを購読すればディスカッションを追いかけることができます。