北海道大雪山の麓「上川町」 今オリンピック・ジャンプのメッカとして
知られている小さな町である。
大量の火山地熱もあり将来のエネルギー基地となる期待される町だ。
大雪山系の鬱蒼とした森林、厳寒の冬、深い雪 この自然に惚れ
込み、この映画「許されざる者」に最適な背景と考えた映画人がいた。
その人は在日三世の李相日(リ・サンイル)監督がわざわざ著作権を
持つハリウッドから映画権をとり付け、西部劇の名作「許されざる者」
1992のリメイクを作ったのだ。
舞台を米国西部から明治初期の蝦夷地(北海道)に移し、原作と
ほぼ同じ内容で作り上げたのだ。
開拓時代の集落セットが作られたが、これは私の知り合いの木材会社が
資材を提供し、またエキストラも地元の知人が出ているので、何か身近に
感じる映画であり、早々劇場で見たのである。
人斬り十兵衛と恐れられた、幕軍の戦士釜田十兵衛(渡辺謙)は
蝦夷の奥地で二人の子供とひっそりと百姓をしていた。そこに昔の仲間、
馬場金吾(柄本明)がやって来た。女郎の顔を切り裂いた二人の男に、
女郎達が千円もの懸賞金付けたという。
亡妻との約束で刀を捨てた十兵衛であったが、厳しい蝦夷地の冬と凶作
で食糧に事欠く暮らしとなり、子供の生活のために賞金稼ぎの話に乗る
決心をした。
女郎達のいる村に入った。しかしそこに警察署長・大石一蔵(佐藤浩市)
がいた。彼はこの村を支配する絶対権力者であった。流れ者は痛めつける、
十兵衛も刀を取り上げられ瀕死の暴行を受けた。後に金吾は殺される。
十兵衛は女郎との約束通り懸賞男たちを始末した。そして金吾の敵討ちを
すべく一人で村に乗り込み、大石と警察軍団に戦いを挑む。
どうしてもクリント・イーストウッドの「許されざる者」1992と比較してしまう。
C・イーストウッドは今こそ世界ナンバーワンの映画監督と言えるが、この映画
でアカデミー作品賞と監督賞を受賞したのが切っ掛けの記念すべき映画である。
年寄りガンマンが復活する悲哀がテーマなるも、何とも言えぬユーモアがある。
あの悪役保安官(ジーン・ハックマン)さえもどこか憎めないユーモアがあった。
最後の結末も異なる。西部劇はハッピーエンド日本版は犬死的悲劇で終わる。
日本版はどこまで行っても暗いばかりで、正直何が面白いのか見えなかった。
「最後よければ全て良し」との原理は映画も同じですぞ・・・
コメント
コメントフィードを購読すればディスカッションを追いかけることができます。