欧州旅行をすると、観光コースと言えば、必ず美術館と教会がある。
どの美術館にも展示され、教会の天井に画かれているのは宗教画である。
しかし旧約聖書も新約聖書も、ユダヤ教やキリスト教もギリシャ神話も、
ローマ史も知らない日本人にとってはその意味・意義が良く判らない。
特に血塗られたおぞましい殺生画はグロテスクで目を背ける始末である。
という訳で、世界的なベストセラーの映画化「ダ・ヴィンチ・コード」に一言。
何故この本が世界的なベストセラーになったのか?それは何と言っても
世界一信者が多いキリスト教の存在にかかわることであるからだろう。
事件はフランスのルーブル美術館内で起こった。館長の猟奇的な変死体
が発見された。それはレオナルド・ダ・ヴィンチの「ウィトルウィウス的人体図」と
同じ格好で死んでいたのだ。そこにはラングドン博士の名前が記されていた。
ロバート・ラングドン教授(トム・ハンクス)はハーバード大学宗教象徴学の
権威者であるが、彼は館長に会うべくパリにいたのだ。事件の第一容疑者と
してまた事件分析に必要な協力者として、殺人現場に招聘された。
彼は逮捕寸前で、館長の孫娘ソフィー・ヌバー(オドレ・トトゥ)と共に逃亡
した。二人はダビンチの絵画「モナリザ」「最後の晩餐」「岩窟の聖母」から
アナグラムを解読して、この殺人理由とキリスト教の重大な秘密を解いて行く。
要はカトリック・キリスト教内の1000年に及ぶ権力闘争であった。つまり
カソリックの総本山バチカンを事実上支配する秘密評議会と、キリスト教
の秘密結社シオン修道会との歴史的対立であったのだ。
バチカンはキリストは神の子であることが大前提であるが、シオン修道会は
キリストは人間であり、その末裔が生きていて、それを守っているという
立場である。もし後者が真実とすると世界を根底から変える大事件となる。
仏教の日本人には到底理解できぬ世界であるが、ラングドン博士や
彼の旧友宗教学者リー・テービング(イアン・マッケラン)の滔々たる
推理や分析は興味深く、誠に面白く、この映画の見所である。
あとバチカン評議会の司教(アルフレッド・モリーナ)、フランス警察
(ジャン・レノ)が脇を固めている。
監督はロン・ハワード、脚色はアキヴァ・ゴールズマン、
そしてベストセラーの原作はダン・ブラウンであります。
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