2017年のノーベル文学賞,またも「ノルウエイの森」の村上春樹さんは
受賞ならずであった。
受賞したのは何と!日系英国人のカズオ・イシグロ(石黒一雄)氏
であった。彼は1954年に長崎で生れ、幼少期に父の仕事で渡英し、
1982年に英国に帰化した人。
多くの日本人にとってイシグロWHO?なのかもしれないが、英国で
は「日の名残り」でブッカー賞を受賞し、1995年には大英帝国勲章も
受賞し、1998年フランス芸術文化勲章を受章してている若き文豪
なのです。
私も本は読んでいないのですが、何と!彼の本を原作にした映画は
しっかり観ていたのです。
日の名残り「the remains of the day」1989出版、1993年映画化
私を離さないで「never let me go」は2005出版、2010年映画化
更に日本で2014年蜷川幸雄が多部未華子主演で舞台化、
その後2016年には綾瀬はるか主演でTVドラマにもなっている。
という訳で「日の名残り」について一言
第一次世界大戦で敗戦したドイツ帝国はベルサイユ条約により
過酷な賠償を掛けられた。
英国貴族ダーリントン卿(ジェームス・ホックス)は欧州の平和には
ドイツの復興が必要という信条の持ち主で、英国とフランス貴族や
政府高官に働きかけドイツ融和のために奔走した。しかし歴史の
事実としてしたたかなナチスに旨く利用されていたのだ。
ダーリン卿の城は正に秘密の国際会議と晩餐会の場であった。
この英仏米独の要人たちの接待を取り仕切ったのは忠実な執事
スティ―ブンス(アンソニー・ホプキンス)であった。
この映画は英国貴族社会とスティーブンスの執事振りを画いた
ものである。また女中頭ケントン夫人(エマ・トンプソン)は
スティーブンスを補佐し敬愛していた。
スティーブンスは父親からの教えである執事の「品格」に強く拘わる
余り滅私奉公に徹し、ダーリントン卿の人種偏見や、ナチス親交
をいさめることなく黙認した。
そして本心を押し殺して、ケントン夫人からの求愛も否定したのだ。
なんでしょうネ?忍ぶ恋、滅私奉公、まるで武士道の如くであり、
まるで原作者カズオ・イシグロの心に潜む日本人性ではないかと
推察した次第。
当時二人は幸せになれたはずの選択をせずに別れた。
そして20年後再会した今、二人の愛は変わってなかったが・・・
共に暮らすという幸せの選択をせずに借別を選んだのでした。
人生とは儘ならぬものですネ。
監督はジェームス・アイヴォリー、制作マイク・ニコルズ、脚本は
ルース・ブラワー・ジャブヴァーラ
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