「ダイ・ハード」1を見たのは1989年、平成元年であった。
ロサンゼルスのクリスマス・イブの夜、日系企業ナカトミ社の高層ビル
を13人のテロ集団が占拠した。日本人タカギ社長を容赦なく射殺し、
30人の社員を人質にした。
しかしこのビルの中にNY市警のジョン・マクレーン刑事が潜んでいた。
たまたま妻を訪ねて来て事件に遭遇、彼は妻を救うべくテロリスト集団と
戦う羽目になってしまった。
たった一人で13人の戦闘員と戦うマクレーンの孤軍奮闘ぶりが大うけ
全米はじめ日本でも大ヒットしたのであります。
今では信じられぬことだが、1989年の日本はバブル経済の絶頂期で、
あり株価は最高値38、915円を付け、世界経済の牽引車であった。
世界一羽振りが良かったのである。
巨額のジャパンマネーで三菱地所があのクリスマスツリーネオンで有名な
NYのロックフェラーセンタービルを買収した。
さらにソニーがハイウッド映画のコロンビア映画とMGMも買収した。
これらは米国のシンボルの買収であり、ある意味米国人の自尊心を大いに
傷つけていたゆえ、ダイ・ハードのテロ13人はむしろ米国人の溜飲を下げ
喝采を受けていたとも聞く。
マイケル・クライトンの小説を映画化した「ライジング・サン」1993も
同じテーマ、LAのど真ん中に巨大ビルを建造した日本企業ナカトモの
落成パーティーで殺人事件が起こる。主演はショーン・コネリーであった。
得たいの知れぬ日本ビジネスマンが暗躍し、日本のヤクザが絡む、正に
米国人の日本人に対する畏怖が感じられる映画であった。こんな背景で
作られたのがこのダイ・ハードであり、今落ち目の日本ではとても考え
られぬ映画であったのだ。
今はこの役目を中国が果しており、アクション映画で得たいの知れぬ敵役は
殆ど中国人である。正に映画は世に連れ、世は映画に連れで、時代そのまま
である。
1990年に入り、日本バブルは崩壊し失われた20年が始まるのである。
主演ジョン・マクレーンにブルース・ウィリス、女房にボニー・ベデリア、
テロのボスにアラン・リックマン、監督はジョン・マクティアナンでした。
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