いやぁ~「良い映画」とはこの映画のことを言うのだろうネ。
私にとって3月末時点で2019年NO1映画といえます。
1962年ごろの米国、黒人への人種差別というシリアスな
テーマであるのに、酷い仕打ちの、黒人差別の連続なのに、
笑いに笑えて、ほろり涙と、観客の心が優しくなる内容である。
こんな映画に仕上げることが出来たのは、今までコメディー専門、
それも品の良くないコメディーばかり作ってきた監督だから作り得た
作品と推察しました。それは(ピーター・プレイリー)監督。
彼の代表作は(キャメロン・ディアス)の「メリーに首ったけ」(‘98)
これは、あけすけセックスやHなハラスメントだらけの問題映画、
批判も受けたが大ヒットした。
それからコメディーの王者、それもハチャメチャ・コメディー役者
あの(ジム・キャリー)を使って「ふたりの男とひとりの女」(00)と
「帰ってきたMr.ダマーバカMAX!」(14)などを作り上げた。
悲劇やアクションと異なり、コメディー映画は難しい、ただふざけて
いては映画にならない。笑いの面白さの中に人情があり、何か
風刺を密かに潜ませねばならない。何よりも軽薄な台本の中に
知性と教養のセリフを盛り込めねばならぬからだ。
今回の映画「グリーン・ブック」はコメディーではない、むしろ
社会派ドラマのジャンルであるが、笑いが絶えないのは、
監督業と脚本家としての経験と鍛錬の賜でありましょう。
「グリーンブック」とはこの当時、黒人が全米を旅行するための
ガイドブックである。どこに泊まるか、どこで飲食するか、夜間外出
禁止区はどこか?など、黒人が身を守るための安全ブックであった。
それほど差別と迫害は酷く、リンチや殺されるこも多々あったのだ。
黒人の天才ピアニスト、Drシャーリー(マハーシャラ・アリ)は、
米国南部の演奏ツアーを企画した。あえて最も黒人差別が
厳しい南部を選んだのだ。
そのツアーに同行する運転手兼用心棒としてイタリア系アメリカ人
トニー・リップ(ブィゴ・モーテンセン)が雇われた。
ガサツで無教養で腕っぷしの強いイタ公と、孤高で高学歴な天才
黒人という全く正反対の二人がグリーンブックを頼りに旅をはじめた。
キャデラックで南部を走る、私の好きなロード・ムービー映画である。
いかに天才高名であっても、高級な場所での演奏でも黒人は黒人
至る場所で酷い差別を受けた。ここが主テーマである、昔は酷かった
と思ったが、よくよく考えてみると、現在は世界規模で人種間の差別
と格差が広がっていると思われる。
全く異なる二人は、しばしばぶつかるが、シャーリーを助けるうちに
二人はお互い影響を受け、心から信頼関係が生まれた。その後
晩年までつづく大親友となったという正に実話(トニーの息子が
原案)であります。
この映画2019年アカデミー作品賞、助演男優賞(マハーシャラ・アリ)
脚本賞(ファレリー監督とトニーの息子のニック・バレロンガ)が受賞した。
今回は当然の受賞と評価します。
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