現在(2013)「終戦のエンペラー」が上映中で、天皇の戦争責任がテーマです。
ポツダム宣言から天皇の玉音放送による終戦までを画いた秀作と言えば
昭和20年8月15日の「日本のいちばん長い日」(1967)だが、この日の
一つのエピソードとして浅田次郎原作の「日輪の遺産」(2011)に一言
昭和20年7月、米英中から日本政府に対し「全日本軍の無条件降伏」を
要求するポツダム宣言が出された。これを無視すると広島・長崎に原子爆弾が
投下され、ソ連も対日参戦し、いよいよ日本は最悪の状況に追い詰められた。
日本陸軍の阿南陸軍大臣は徹底抗戦を主張していたが、その一方でもう敗戦を
見越し、日本再興のためか?日本軍再興のためか?日本陸軍が密かに保管して
いた「山下資金」すなわち「マッカーサーの財宝」と呼ばれる900億円の
金塊(現在の価格で200兆円)をアメリカ軍に没収される前に秘密の場所に
隠す計画を進めていた。
阿南陸軍大臣(柴 俊夫)や海津参謀総長ら将軍から直々、財宝の埋蔵という
極秘命令を受けたのは真柴少佐(堺 雅人)と小泉・主計中佐(福士誠治)で
あった。
二人に従う兵隊として望月曹長(中村獅童)が付けられた。そしてこの埋蔵
作業のために動員されたのは、なんと中学2年の女子学生20名と担任教師
(ユースケ・サンタマリア)であった。
少女たちは「七生報國」の鉢巻をして、お国のためにと一生懸命働き、指定
された洞穴に全ての財宝を運びこんだ。時は8月15日、天皇による終戦の
玉音放送が始まっていた。
この数日前、真柴少佐は一通の命令を受けていた「物資ノ集積ヲ完了シタル
後滋養剤三錠宛、服用セシム事」つまり毒殺せよということであった。
真柴は苦しみ、意を決して参謀本部へ走った。時は宮城事件(近衛兵のクーデ
ター)の真っ只中、阿南大臣が切腹し果てる間際に「人間として生きよ」の
言葉を受けた。これを命令解除と解し、少女たちを無事帰すことを決めた。
しかし、命令を薄々知っていた少女たちが、お国のため秘密保持のため自ら
集団で服毒自決してしまったのだ。結果この埋蔵金塊は守られたが、戦後の
復興に使用されないまま現在もどこかに埋まっているのです。
この200兆円あれば現在の1000兆円の借金も緩和されますがネ。
それにしても悲惨な結末に、正直後味の悪い映画であった。
小説の方は財宝探しのミステリー仕立ての中、少女たちの死は一つのエピソ
ードに過ぎない、しかし映画はこの集団自殺が主題であり、涙無くして見る
ことが出来ぬ、が違和感を感じました。監督は佐々部清
私は浅田次郎の「壬生義士伝」やJALの機内誌「つばさよつばさ」のファンで
あるが、この小説が史実の糾弾ならば許されるが、旧日本軍の非人間的な命令と、
愛国的な集団自殺をフィクションとして作るのは如何なものかと思いましたネ。
コメント
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