スティーブン・スビルバーグ監督&トム・クルーズ主演となると
正にハリウッドの帝王とキングの共作。やはり濃度は2倍になる
親子愛+国家陰謀+アクション+SFX とにかく、見せ場は豊富
見る価値はある。
この映画が問い掛ける社会問題が多々あるので 一言
・・・・今日の私は真面目ですゾ・・・・・
1)「Minority」といえば普通は少数民族の意味、シリアスな人種問題映画と
思っていたら、まったく違った。
2)「少数意見書」という意味だった。映画と全く関係ないが、今話題の
道路公団民営化委員会で、作家の(猪瀬直樹)さん側がまとめた案に
決まった。この場合、今井委員長(元経団連会長)側の「高速道路を
作りたい!」というのが少数意見で「Minority Report]に当る。
この委員会「七人の侍」といわれ颯爽と登場したが
猪瀬さんが曰く「七人の侍の中に約1名、盗賊が紛れ込んでいる!」
とは面白い映画的名言と思いました。
3)映画の舞台はいまから50年後、近未来のワシントンDC
国民は全て網膜(二人と同じものはない)でID登録され、乗り物、
買い物、クレジットは全て網膜で確認される。ビルの出入り、
セキュリティーは目の網膜感知で全てOKだ。
又街中至る所にセンサーが設置され、その人の所在が常に
把握される。誠に便利だが、全くの管理世界である。
4)今日本では「住基ネット」国民一人一人に11桁の番号が振られ
国民背番号制が始まったばかりですが。まぁこの行き着く先が
この網膜IDの世界でしょう。便利とみるか? 安全とみるか?
はたまた危険とみるか?この映画は一つの判断材料になる。
5)昨年9/11以来 世界中でテロ爆弾による大量殺人が多発して
いる。テロと共生の時代になったとも言える。
また理由無き無差別殺人 幼児殺人 痴情殺人も増加の一途
一般市民の中に強力な犯罪予防システムや警察国家を望む声が
出て不思議ではない。
7)この近未来では殺人犯罪が透視で予知され、殺人が発生する前に
犯人が逮捕されてしまうシステムが確立された。よって殺人事件
はゼロ、犯罪率は90%減になった。治安は完全に確保されたのだ。
8)現在の法律体系は犯罪に当る行為があって初めて犯罪が成立する
9)日本では例外として破防法がある、つまり実行前でも暴動「目的」
で集まると犯罪が成立する。しかし、憲法上問題ありとして、
破防法が適用された例は殆ど無い。常に論議が起こり
あのオウム事件ですら適用されなかったのだ。
10)しかるに、この映画では、犯罪を犯すと予知された者は、それで
逮捕されるのだ。超能力者による予知は神の如き「的中率」を誇って
いるとはいえ人権上大いに問題あろう。そして、この予知自体に間違
はないのか?当初からこの方法に疑いを持つ少数意見があったのだ。
それは「マイノリティ・リポート」として封印されていたのだ。
11)罪人の監修が誠に興味深い「デモリッシュマン」('93)でも
見せてくれたが、 囚人は冷凍保存状態でカプセル保存される。
懲役が終わるまで仮眠中に自分の犯罪シーンを何度も何度も見せられ
懺悔と更正の教育を受けるシステムだ。看守はたった一人のみ
コスト上 また教育刑という意味からは優れたシステムである。
12)この映画では「運命は変えられないのか」哲学的な部分も多々ある。
予知を知ったものは「自分の意志」で運命を変えられるのか?
正にここが「Minority Report]の真髄であろう。
13)もしこのシステムに瑕疵があり、かつ人権上の問題ありとしても、
90%犯罪減の成果を市民社会は簡単に捨てられるだろうか。
又 テロの恐怖社会に戻るのか?映画はこの点を無視して
簡単に捨て去り終わってしまった。
脚本はフランク・スコット
スピルバーグさんの映画は 最後はいつもあっさりとしている。
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